晴れ間に見えた
雲の切れ間から
「おはよう」と鳥が
空を飛び回る
彼のいない窓を
ゆっくり開けて
指を噛む私
初めて怒った彼の顔
怖くて目を逸らす私がいた
指を噛む癖を
良くないと
噛まないように
手を握ってくれた
私の好きな大きい
あなたの手
私の勘違いから
あなたを傷つけた
夜の海に飛び出し
あなたを困らせた私
あなたを困らせたら
願いが叶うと信じ
幼稚な行動で
あなたを背いた私
あれから一通の手紙が
彼のいない部屋に
届いた
「疲れた、ありがとう」
「今までの君が好きだった」
「また はないから」…
あっけなく1年半の恋は終った
白い無地のノートに
二人で「はじまりの時」
そう記したあの日
「記念日」には
決まった場所で写真を撮り
朝は「おはよう」
夜は「おやすみ」
そうすることが
私達には普通過ぎた
前触れもなく
訪れた
受け入れられない
灯りが消えた
二人の部屋
明日から9月
二人の「記念日」を
迎えることもなく
捨てられていく
日めくりカレンダー
未練は私を弱くする
人の愛し方なんて
0に近いくらい
非常なんだ
晴れ間に見えた
雲の切れ間から
「さようなら」と面影が
うつすらと消えていく
1+1が2でもなく
2+3が5でもないことが
あなたの言葉でわかった夜
あなたからの
はじめての手紙が
別れる手紙となった今
しばらくは
忙し過ぎる仕事に
生きる事を
助けられ
生きる望みを
つなげるしかない
独りぼっちの私
同情なんかは
何にもいらない
あなたのいない部屋から
抜け出せる勇気は
今のところ全くなく
窓をあけるだけでも
呼吸が乱れます